【株式投資ABCノート】 複利とは Vol.4

株式投資ABC

「お金に働いてもらう」という言葉を聞いたとき、多くの人が思い浮かべるのが「複利(ふくり)」です。あのアインシュタインが「人類最大の発明」と呼んだこの仕組みは、現代の私たちが将来の不安を解消し、自由を手に入れるための最も強力なツールです。

しかし、複利の本当の凄さを正しく理解し、活用できている人は驚くほど少ないのが現状です。複利の仕組みを平易な言葉で紐解き、なぜ「早く始めること」がこれほどまでに強調されるのか、その本質を解説します。

複利とは、雪だるまを作るプロセスである

複利とは一言で言えば、**「利息が利息を生む仕組み」**のことです。

例えば、100万円を年利5%で運用したとします。 1年後には105万円になります。ここまでは「単利」と同じです。しかし、複利が本領を発揮するのは2年目からです。

  • 単利の場合: 常に元の100万円に対して5%がつくので、毎年5万円ずつ増えます。
  • 複利の場合: 2年目は、1年目の利益を含めた「105万円」に対して5%がつきます。つまり、5万2500円増えるのです。

「たった2500円の差か」と思うかもしれません。しかし、これが10年、20年と積み重なると、その差は「雪だるま」のように膨れ上がります。最初は手のひらサイズの雪の塊だったものが、転がし続けるうちに、自分の身長を超える巨大な塊へと成長していく。これが複利のイメージです。

複利の魔法を解き明かす「72の法則」

複利の効果を直感的に理解するために、投資の世界には「72の法則」という便利な計算式があります。

72 ÷ 金利 = 資産が2倍になるまでの年数

年利(リターン)2倍になるまでの期間投資対象のイメージ(例)
0.001%72,000年大手銀行の普通預金(ほぼ増えない)
0.1%720年ネット銀行の好金利預金
1.0%72年国内債券など(超低リスク)
3.0%24年先進国債券、安定型バランスファンド
5.0%14.4年一般的なインデックス投資(全世界・全米など)
7.0%10.3年米国株S&P500の長期平均に近い水準
10.0%7.2年積極的な株式投資、成長株ファンド

例えば、NISAなどで期待リターンが「年利3%」の運用ができた場合、72 ÷ 3 = 24。つまり、24年であなたの資産は2倍になります。もし「年利7%」なら、わずか約10年で2倍です。

この法則が教えてくれるのは、「金利のわずかな差」がいかに将来の大きな差になるか、ということです。そしてもう一つ、「時間」がいかに強力な武器であるかということです。

なぜ「今」始めるのが最も正解なのか

複利の恩恵を最大化する要素は、元本の大きさでも、特別な投資センスでもありません。最も重要なのは**「運用期間」**です。

複利のグラフを見てみると、最初の10年、15年は驚くほど増え方が緩やかです。これを投資の世界では「潜伏期」と呼びます。しかし、ある一定のラインを超えた瞬間、グラフは垂直に近い角度で上昇を始めます。

20歳で始めた人と、40歳で始めた人では、この「上昇カーブ」に乗れる時間の長さが決定的に違います。早く始めれば始めるほど、少ない元本であっても、複利というエンジンの力だけで資産を爆発的に増やすことができるのです。

実質利回りとインフレ:賢い投資家の視点

ここで少しだけ「本質」に踏み込んだ話をします。 資産運用を考えるとき、表面上の金利だけでなく、**「実質利回り」**という考え方が重要になります。

仮に銀行の金利が0.01%であっても、世の中の物価が2%上がっていれば、あなたのお金の価値は実質的に目減りしています。複利は「お金の数字」を増やすだけでなく、「お金の価値」を守るための防衛策でもあるのです。

NISAなどの制度を活用し、インフレ率を上回るリターンを目指すことは、現代において「自分と家族の生活を守る」ためのスタンダードな戦略と言えるでしょう。

複利は「静かな加速」

複利は、魔法ではありません。最初は目に見えないほど静かに、しかし確実に加速していく物理法則のようなものです。 「1.01」を毎日積み重ねれば、1年後には「37.8」になります。一方で、何もしない「1.00」は1年後も「1.00」のまま。

大切なのは、この「静かな加速」を信じて、まずは雪だるまの芯(元本)を作り、坂道に置くことです。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

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