「あれ、今朝は走りに行ったかな?」 玄関で立ち止まり、ふと自分の記憶を疑う。毎日のルーチンが体に馴染みすぎて、脳が「特別なこと」として記録するのをサボったようです。
以前の私なら「いよいよかな……」と落ち込んでいたかもしれません。でも、今は違います。むしろ、「脳の切り替えがうまくいっているな」と、笑えるようになりました。
定年後の私たちの「脳の使い分け」について、少し考えてみようと思います。
流動性知能:脳の「処理スピード」と「瞬発力」
新しいことを覚えたり、素早く計算したりする能力です。
- イメージ: パソコンやスマホの**「最新OS」や「CPUの速度」**。
- 特徴: 20代をピークに、残念ながら加齢とともに緩やかに低下します。「名前がすぐ出てこない」「新しい家電の設定に苦戦する」のは、このOSの処理速度が少し落ちているからです。
- 捉え方: 「衰え」ではなく、**「全速力で走る必要がなくなった」**と解釈しましょう。
結晶性知能:脳の「蓄積データ」と「熟成度」
これまでの経験、知識、判断力、語彙力などを統合する能力です。
- イメージ: 長年かけて増築された**「巨大な図書館」や、寝かせるほど美味しくなる「ヴィンテージワイン」**。
- 特徴: 60代、70代になっても伸び続けます。むしろ、人生の後半戦でこそ真価を発揮する知能です。
- 捉え方: 「速さ」では若者に譲っても、**「深さ」と「正確さ」**では圧倒できる、大人の武器です。

シニアでは、どう受け止めて行動する
① 「仕組み化」で流動性を節約する
流動性知能(瞬発力)が落ちるなら、**「考えなくてもいい仕組み」**を作ればいいのです。
- 朝のランニングをルーチンにするのは、脳に「今日はどうしようか?」と考えさせるコスト(流動性の浪費)をカットするため。
- 「忘れる」ことを前提に、メモやスマホの通知、定位置管理を徹底する。これは「衰え」ではなく、**「脳のマネジメント」**です。
② 「結晶」をアウトプットして価値に変える
溜め込んだだけの知識は、ただの「在庫」です。それを使って何かを表現することが、結晶性知能をさらに輝かせます。
- 誰かの相談に乗る、地域活動で采配を振る。
- **「経験というフィルター」**を通して発信される言葉には、若い世代には出せない重みと説得力が宿ります。
③ 「大事なこと」に容量を集中させる
ルーチンで脳を自動運転させて浮いた「容量(メモリ)」を、本当に心が動くこと、ワクワクすることに全投入します。
- 「今朝走ったかな?」と忘れるくらいの些細なことは、仕組みに任せて放っておく。
- その分、**「次にどんな物語を紡ごうか」**という創造的な時間に、脳のエネルギーを贅沢に使うのです。

まとめ
| アクション | 目的 | 具体的な例 |
| ルーチンを作る | 脳の余白を作る | 「朝走ったかな?」となるくらい、日常を仕組み化・自動化する。 |
| 戦略的に忘れる | 重要なことに集中 | 些細なことはスマホやメモに任せ、「今、この瞬間」の感動にメモリを使う。 |
| つなげて発信する | 結晶性知能の活用 | ニュースと過去の経験を結びつけ、自分なりの視点で考える |
| 未知を面白がる | 経験値のアップデート | あえて「自分とは無縁」と思っていた分野の本を一冊読んでみる。 |
最後までお読みただき、ありがとうございます。


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