今思えば、もっと税金のことを勉強しておけば良かった、と思うことがあります。
現役時代、給与明細を手取り額しかほとんど見たことがなかった。どのようにして税額が決定しているのか、考えることもなかった。確かに、会社が、税金の計算は全てやってくれるし、社会保険料の計算までもやって、徴収までしてくれていた。定年退職すると、それが、自分で手続きをするようになると、やたらこの金額は、どうやって決めているのだろうと常々考えるようになった。それだけお金に敏感になったのは良いこと。しかしこの税金計算の複雑さは、想像以上だった。一発で答えが出ないのは、前提条件によって変わってくることがわかった。
そこで、とても基本的なところにはなりますが、調べていきたいと思います。
なぜ「一律の答え」が存在しないのか
税金の計算式は、大きな前提条件があります。
特に以下の3つの変数が、計算結果を変えてしまいます。
- 「属性」という変数(年齢・居住地): 65歳を境に年金の控除額は変わります。また、住民税などは住んでいる自治体によっても微妙に異なります。
- 「背景」という変数(家族構成・扶養): 誰を支えているか、配偶者の所得はいくらか。この「家族の形」が、控除という名の大きな差し引きを生みます。
- 「ルール」という変数(毎年の制度改正): これが最も厄介で、かつ重要な点です。税制は「生き物」のように毎年変わります。年毎に法改正で制度が変わっていきます
次に、区分けを知ること
税金を理解するとは、自分の収入を「正しい箱」に仕分ける作業に他なりません。 「収入」と一言で言っても、その性質によって引ける経費(控除)の額が全く違います。
- 給与収入: 会社員としての頑張り
- 事業収入: 自分の腕一本での稼ぎ
- 公的年金収入: 過去の積み立ての結果
「収入」と「所得」は全くの別物
まず最初に気づくのが、言葉の定義です。
- 収入: 手元に入ってくる「総額」(額面)
- 所得: 収入から「経費(控除)」を引いた「残りの利益」
税金は「所得」に対してかかります。つまり、「どんな控除が使えるか」という前提条件を知らなければ、出口の税額は決まらないのです。
覚えておきたい 基本的な控除の一覧
「前提条件(控除)」をまとめました。※2026年1月時点
| 控除の種類 | 概要 | ポイント |
|---|---|---|
| 基礎控除 | 原則として多くの人に適用される所得控除 | 合計所得金額に応じて控除額が変わる(令和7年分以後は基本58万円、最大95万円の区分あり) |
| 公的年金等控除 | 公的年金収入から差し引ける控除(雑所得の計算に使う) | 年齢(65歳以上か)と年金の収入金額で控除額が決まる |
| 社会保険料控除 | 支払った(または天引きされた)社会保険料を控除 | 控除できるのは支払額の全額(税率分だけ税負担が軽くなる) |
| 配偶者控除 | 要件を満たす配偶者がいる場合に受けられる所得控除 | 配偶者の所得要件+納税者本人の所得要件で決まる(配偶者は合計所得58万円以下=給与収入123万円以下が目安) |
| 医療費控除 | 1年の医療費負担が大きい場合の所得控除 | (医療費−補てん)−「10万円 or 所得の5%(小さい方)」を超えた分が対象(上限200万円) |
① シミュレーションの準備:前提条件整理 ※2026年1月時点
事前に、ご自身の情報をいくつか整理しておきましょう。源泉徴収票やねんきん定期便があるとスムーズです。
- 年金収入の総額: 年金振込通知書や源泉徴収票に記載されている金額です。
- 年齢: 65歳以上か否かで控除額が変わります。
- 社会保険料の支払い額: 国民健康保険、介護保険、後期高齢者医療保険などの年間支払額。
- 扶養親族の有無: 扶養している家族がいるか。
- その他の収入: パート収入、事業収入などがあればその金額。
- その他控除に関わる情報: 医療費控除、生命保険料控除、ふるさと納税など。
② 公的年金受給者の税金計算「3つの基本ステップ」
以下の3ステップで、ざっくり把握できます。
ステップ1:公的年金等控除を計算する 年金収入には、私たち会社員の「給与所得控除」に相当する「公的年金等控除」があります。これは、年金収入から一定額を差し引けるものです。
| 年齢 | 公的年金等の収入金額 | 控除額 |
| 65歳未満 | 130万円未満 | 60万円 |
| 130万円以上410万円未満 | 収入金額×25%+27.5万円 | |
| 65歳以上 | 330万円未満 | 110万円 |
| 330万円以上410万円未満 | 収入金額×25%+27.5万円 |
この表は公的年金等控除額を計算するための表です
ステップ2:所得を計算する(所得 = 収入 - 各種控除) 年金収入から公的年金等控除を引いたものが「公的年金等に係る雑所得」です。 そして、この雑所得から、前回の記事で触れた「基礎控除」や「社会保険料控除」などの各種所得控除を引きます。
**「課税所得」=「公的年金等に係る雑所得」-「各種所得控除」**
ステップ3:税額を計算する(税額 = 課税所得 × 税率) 最後に、課税所得に所得税率を掛けて、所得税額を算出します。復興特別所得税(所得税額×2.1%)も忘れずに加算します。
個別具体的なケースについては
実際の税額は個人の事情により異なりますので、確定申告の件や税金のことは税理士または税務署にご相談ください

確定申告e-Tax をやってみましょう
一度入力して還付金が発生するか確認してみるのも良いでしょう。
申告にあたっては注意点があります。
バイト代(給与)と公的年金のみの場合、還付(税金が戻ってくる)を受けられる可能性は高いです。
- 理由:
- アルバイト先や年金支給時に、所得税が「源泉徴収(天引き)」されていることが多いため。
- 確定申告や還付申告(年金受給者)を行うことで、公的年金等控除や給与所得控除、基礎控除などが適用され、払いすぎた税金が戻ってくるため。
- 注意点: 「所得税が還付される(減る)」ことと「社会保険料が上がる(増える)」ことは別問題です。還付目的の申告で所得額が上がると、国保料が上がる可能性はあります。
- 目安(確定申告が不要なケース):
- 公的年金等の収入合計が400万円以下
- かつ、公的年金以外の所得(アルバイト代の所得など)が20万円以下
※還付を受ける(申告する)場合は、この限りではありませんが、国保への影響は考慮が必要です。
確定申告で「所得」が増えると、社会保険料が上がります
- 確定申告=「合計所得」の見える化
- 「確定申告をすると、税務署が『この人はこれだけの儲け(所得)があった』と正確に把握し、その情報を市区町村の国保担当へ伝えます。住民税や健康保険料は、この『住民税の課税対象となる所得(合計所得)』をベースに計算されるため、申告した所得が高いと、比例して保険料も高くなります」
- 具体例:
- 「特定口座(源泉徴収あり)で税金が引かれているから申告不要なのに、損益通算しようと申告して利益(所得)が増えると、税金は少し減っても、それ以上に国保料の『所得割』が上がり、結果として合計の負担額が増えてしまう(=『損をしてしまう』)ケースがあります」
- 注意点: 65歳以上の公的年金受給者などは、この影響(国保料・介護保険料の負担増)が特に顕著になるため、申告は慎重に行う必要があります。
この記事に書かれた内容については、私の調べる範囲で確認した内容となっています。
そのまま鵜呑みにせず、ご自分でも確認されるようお願いいたします。
税金の基本的なことを理解していないままでした。いくつかの条件が変わると、適合しないケースが出てきて、この細かい仕様には、驚きました。何事も興味を持つことが大切だと考え、これからも学んでいきたいと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。


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