自分らしく生きる考え方。論理と感情を分けて「2つの窓口」を作る

思考

「なぜ、あんなことを言ってしまったんだろう」 「どうして、あの時あんな判断をしてしまったのか」

一日を終え、静かな夜の「余白の時間」に、ふとそんな後悔が頭をよぎることはありませんか?

私たちは日々、大小さまざまな選択を繰り返しています。しかし、その多くは「事実」ではなく、その瞬間の「感情」に突き動かされたものかもしれません。感情は人生を彩る大切な要素ですが、感情だけで舵を握ってしまうと、人生の選択は予期せぬ方向へ流されてしまいます。

自分らしく、納得感のある人生を歩むために必要なのは、感情を捨てることではありません。 頭の中に**「論理の窓口」「感情の窓口」**という、性質の異なる二つの受付を作ることです。

この「二つの窓口」を使い分ける習慣が身につくと、次第に心が軽くなり、物事の本質がクリアに見えてきます。今回は、混ざり合いやすい「事実」と「気持ち」を鮮やかに切り分け、自分軸を取り戻すため考え方を展開したいと思います。

まず、感情と論理的に対する答えの数を整理してみましょう

  • 感情論(主観・価値観): 正解は人の数だけあります。 感情は「快・不快」や「大切にしたい価値観」に基づいているため、他人が否定できるものではありません。
  • 論理的回答(客観・構造): 実は、論理の世界でも**「前提条件(パラメータ)」が変われば、導き出される「正解」は変わります。** 例えば、投資において「リターン最大化」を前提にするか「リスク最小化」を前提にするかで、論理的な最適解は180度異なります。つまり、論理的な答えが1つに見えるのは、**「前提が固定されている時だけ」**です。

2. 感情論と論理を切り分ける「3つの意識」

これらを混同せずに使い分ける「習慣」にするためには、以下のステップを意識してみてください。

① 「事実」と「解釈」を分ける訓練

何かが起きた時、頭の中でノートを2列に分けるイメージを持ちます。

  • 事実(論理の材料): 誰が見ても動かせない数字や出来事。(例:フルマラソンで30km地点で足が止まった)
  • 解釈(感情の材料): その事実をどう捉えたか。(例:もう限界だ、練習が足りなかった、情けない)

② 「目的」を先に定義する

議論や思考が迷走するのは、論理が必要な場面で感情を優先(またはその逆)している時です。

  • 「今、納得感が欲しいのか?(感情)」
  • 「今、最短ルートで結果を出したいのか?(論理)」 この**「目的のタグ付け」**を最初に行うだけで、脳のモードが切り替わります。

③ 感情を「データ」として扱う

感情を排除しようとすると、逆に執着してしまいます。「私は今、こう感じている」という感情そのものを、論理を組み立てるための客観的なデータの一つとして置いてみるのがコツです。

「私は今、この案に対して不安を感じている(感情データ)。では、その不安の正体は何というリスクか?(論理分析)」


3. 実践的なチェックリスト

感情と論理のバランスを取るために、以下の表を意識の隅に置いておくと便利です。

項目論理(ロジック)感情(エモーション)
役割正しい判断・効率・説明責任納得感・モチベーション・人間関係
問い「それは真実か?」「効率的か?」「それは好きか?」「心地よいか?」
欠点冷酷に見える、理屈倒れになる矛盾が生じる、再現性がない

【思考の筋トレ】「感情」と「論理」を切り分け、本質を見抜く技術

私たちは日々、無数の判断を下しています。しかし、その判断は「冷静なデータ(論理)」に基づいたものでしょうか? それとも「その時の気分(感情)」に流されたものでしょうか?

定年退職後、自由に使える「時間資本」を手にした今こそ、この二つを鮮やかに切り分ける習慣を身につけることは、人生の質(QOL)を劇的に高めてくれます。

今回は、なぜこの切り分けが必要なのか、そして日常の例を用いたトレーニング問題をご紹介します。


なぜ「切り分け」のトレーニングが必要なのか?

結論から言えば、「後悔しない決断」をするためです。

  • 感情論の罠: その時の気分や恐怖で動くと、再現性がなく、後で「なぜあんなことをしたのか」と後悔しやすくなります(例:暴落時の狼狽売り)。
  • 論理一辺倒の罠: 数字だけで決めると、心(納得感)が置いてけぼりになり、長続きしません(例:苦しすぎる練習メニュー)。

この二つを「分けて」認識することで、**「論理で戦略を立て、感情でエンジンをかける」**という、最強のバランスが手に入ります。

実践!切り分けトレーニング

以下の3つのエピソードを読み、「事実(論理)」と「解釈(感情)」を仕分けしてみましょう。

【Case 1:投資編】

「新NISAでインデックス投資を始めたが、最近の円高で資産額が前月比で5%減少した。自分には投資の才能がないのではないかと不安になり、今のうちに全額キャッシュにした方がいい気がしてきた。」

  • 論理(事実): 資産額が前月比で5%減少した。
  • 感情(解釈): 才能がないのではないかという不安、キャッシュにした方がいいという「気がする」主観。
  • 解説: 5%の減少は単なる「データ」です。ここで感情(不安)に従うと、当初の「長期保有」という論理的戦略が崩れます。

【Case 2:健康と習慣編】

「健康のために毎日30分のウォーキングを目標にしていたが、今週は雨が続いて2日しか歩けなかった。自分はなんて意志が弱いんだ。もうこの目標は諦めて、好きなものを食べて過ごそう。」

  • 論理(事実): 雨が続き、今週は2日しか歩けなかった。
  • 感情(解釈): 自分は意志が弱い、諦めた方がいい、という自分への評価と投げやりな気持ち。
  • 解説: 「歩けなかった」のは天候という外部要因による事実です。ここで「意志が弱い」という感情論に結びつけると、本来の目的(健康)が崩れてしまいます。

【Case 3:人間関係編】

「久しぶりに友人を食事に誘ったが、『その日は都合が悪い』と断られた。以前に比べて返信も遅い気がするし、きっと私と会うのが面倒になったのだ。もうこちらから誘うのはやめよう。」

  • 論理(事実): 誘いを断られた。返信に時間がかかった。
  • 感情(解釈): 面倒だと思われているに違いない、という相手の心理への推測と、傷ついた気持ち。
  • 解説: 断られた理由は「仕事が忙しい」などの論理的な事情かもしれません。「嫌われている」という解釈は、事実に基づかない感情的な飛躍です。

【Case 4:買い物編】

「最新の家電を買おうとお店に行ったが、店員の態度がそっけなくて不愉快だった。この店で売っている製品はきっと質が悪いだろうから、別のメーカーのものを探すことにした。」

  • 論理(事実): 店員の対応が(自分の期待より)簡素だった。
  • 感情(解釈): 不愉快だ、製品の質が悪そう、という印象によるレッテル貼り。
  • 解説: 「店員の態度」と「製品の性能」には論理的な因果関係はありません。感情的な不快感によって、製品選びという論理的な判断が歪んでしまっています。

習慣化するためのコツ:頭の中に「二つの窓口」を持つ

考え方において、銀行のように**「事実の窓口」「気持ちの窓口」**を分けて受付をしましょう。

  1. 「事実の窓口」で受付: 起きたことを数字や動作だけで書き出す。(例:3回中2回断られた)
  2. 「気持ちの窓口」で受付: 自分がどう思ったかを吐き出す。(例:寂しい、腹が立つ)
  3. 最後に統合する: 「寂しいと感じているが、事実は単なるスケジュールの不一致だ。次は別の日に誘ってみよう」と判断する。

このステップを繰り返すことで、ノイズに振り回されない、自分らしい「本質的な生き方」がつくられていきます。
日頃から、論理的なのか、感情的なのかは、意識することが少ないと思います。一度立ち止まって考えてみて、事実はどうなのか、自分の気持ちがどうなのか、よく考えてみるのも、判断を誤らせない方法のひとつです。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

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