「めんどくさい」は脳の進化? 折れない心を作る脳との付き合い方

思考

1. なぜ、あんなに「重い腰」がさらに重くなるのか?

定年を迎え、自分の時間を手に入れたはずなのに、いざ何かを始めようとすると「めんどくさい」が邪魔をする。そんな経験はありませんか?

実はこれ、あなたが怠慢になったわけでも、能力が衰えたわけでもありません。あなたの脳が、これまでの経験を活かして**「究極の省エネモード」**に入った証拠なのです。

2. 脳の仕組み:めんどくさいは「予算不足」のサイン

私たちの脳は、加齢とともに「賢すぎる会計士」のようになります。

  • ドーパミンの減少: 若い頃は「未知の体験」だけでワクワク(ドーパミン)が出ましたが、経験を積むと脳が結果を予測してしまい、報酬の期待値が下がります。
  • エネルギーの節約: 脳は体全体のエネルギーの20%も消費する大食漢です。特に「新しい判断」はコストが高いため、脳は「やらなくて済む理由」を探して、エネルギー予算を守ろうとします。

つまり、「めんどくさい」は**「その活動にエネルギーを出す価値があるか?」**と脳が真剣に吟味している状態なのです。

3. 攻めの付き合い方:脳の「会計士」を出し抜く方法

脳が「やらない理由」を計算し始める前に、強制的に行動をスタートさせる2つの手法があります。

  • 【欧米流:5秒ルール】 「やらなきゃ」と思ったら、心の中で 「5・4・3・2・1・GO!」 と叫んで立ち上がります。脳が「後回しにする理由」をひねり出すには約5秒かかります。その前に物理的に体を動かしてしまう、脳への「奇襲作戦」です。
  • 【日本流:ベビーステップ】 「本を1冊読む」ではなく「本を1ページ開く」、「10km走る」ではなく「玄関で靴を履く」だけを目標にします。脳は「それくらいならエネルギーを使ってもいいか」と許可を出します。一度動き出せば、脳のやる気スイッチ(側坐核)が勝手に入ります。

4. 守りの休憩:スマホは「休憩」にならない

多くの大人がやりがちなのが、疲れたからとスマホを眺めること。これは脳にとっては、さらに情報を処理させられる「残業」と同じです。

  • DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)の活用: 何もせずぼーっとしている時、脳は裏側で情報の整理(ゴミ出し)を行っています。これをDMNと呼びます。
  • 本質的な休み方: 窓の外を眺める、お風呂で何もしない、音楽を聴かずに散歩する。こうした「情報の入力がない時間」を作ることで、脳の予算が回復し、次の「めんどくさい」を乗り越える力が湧いてきます。

5. 本質を見極める:英語圏と日本の「中道」

効率重視の英語圏では、めんどくさいを「倒すべき敵(Hacking)」と見なします。一方、日本では「丁寧な暮らし」や「無心」といった、プロセスそのものを味わう文化があります。

無理して自分を追い込むのではなく、「自分にとって本当に大切なことだけを工夫し、それ以外は潔く諦める(あるいは習慣化して意志力を使わない)」。このバランスこそが、大人の知恵です。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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