2026年現在、私たちが直面している最大の制度変更といえば、2027年夏に控えた高額療養費制度の改正です。「負担能力に応じた負担」という名のもとに進むこの改革、私たちの生活にどう影響し、どう備えるべきか。本質を見極めていきましょう。
改正の要点:何がどう変わるのか?
今回の改正は、2027年と2028年の2段階で完成します。
- 所得区分の細分化(2027年8月〜):現在5つしかない区分が、最大13段階へ。より細かく所得に応じた負担を求められるようになります。
- 自己負担限度額の引き上げ:中間所得層以上の多くで、月々の上限額が段階的にアップします。
- 「年間上限額」の新設(2028年8月定着):月ごとの上限だけでなく、1年間の累計負担額にも上限(キャップ)が設けられます。長期療養者にとっては救いの手となります。
対象年齢:あなたは「当事者」ですか?
主な対象者:70歳未満のすべての方 (会社員、自営業、早期リタイア層)
※70歳以上75歳未満であっても、所得が基準以上(標準報酬月額28万円以上、年収約370万円〜520万円以上など)ある「現役並み所得者」は、70歳未満の現役世代と同様に、高額療養費の自己負担限度額が引き上げられる対象となります。
区分別見込み表(2027年8月以降)
現行の5区分が、このように細かく分かれる見込みです。
| 現行区分 | 2027年以降の区分案 | 年収目安 | 月額上限額の推移 |
| ア(最高位) | 第1〜3区分 | 1,160万円〜 | 大幅な引き上げ |
| イ(高位) | 第4〜6区分 | 770万〜1,160万円 | 段階的な引き上げ |
| ウ(中間) | 第7〜9区分 | 370万〜770万円 | 細分化により負担増 |
| エ(低位) | 第10〜12区分 | 〜370万円 | 微増または据え置き |
| オ(非課税) | 第13区分 | 住民税非課税 | 35,400円(原則維持) |
【高額療養費シミュレーション:2027年改正見込み判定シート】
以下の情報を基に、2026年現行制度と2027年8月以降の改正案での自己負担額を比較してください。
■1. 基本属性
・年齢:[ 歳 ](※70歳未満かどうかが重要)
・居住地:[ 市区町村 ]
・加入保険:[ 国民健康保険 / 任意継続 / 組合健保 / その他 ]
■2. 所得・税金情報(判定の要)
・年間の額面収入:[ ] 万円(年金や給与の合計)
・住民税の状況:[ 課税 / 非課税 / 不明 ]
・確定申告の有無:[ あり(内容: ) / なし ]
■3. 医療費の想定
・想定される総医療費(10割分):[ ] 万円
(※窓口3割負担で30万円払う場合は「100万円」と記入)
・過去12ヶ月の高額療養費利用回数:[ ] 回
・世帯合算の対象:[ なし / あり ]
■4. 出力希望
・現行の月額上限と、2027年改正後の見込み上限額を算出し、その差額を教えてください。
今後の対策:全世代への戦略案
所得の状況によって、取るべき戦略案。
① 現役共働き・働き世代、および「年金+アルバイト」層
結論:迷わず「労働」に全振りしましょう。 医療費の上限が数万円上がることを気にして、働く時間を抑えるのは本末転倒だと考えます。
- 理由:稼いで手元に残る現金(キャッシュフロー)を増やす方が、たまに発生する医療費の増加分を補って余りあるメリットを生みます。
- 戦略:しっかり稼ぎ、しっかりNISAへ入金する。それこそが最強の防衛策です。
② 年金受給のみの世帯
結論:「課税・非課税」のコントロールを意識しましょう。
戦略の考え方:年金収入や投資収益の「受け取り方」や「申告の選択」によって、住民税の区分が変わる可能性があります。この区分は高額療養費だけでなく、介護保険料などの他の料金にも連動するため、家計全体での「最適解」を探ることが重要です。
アクション:まずは「自分の所得がどの区分の境界線にいるのか」を把握すること。その上で、税理士や自治体の窓口で、自身のケースにおける最適な申告方法を相談・検討してみることをおすすめします。
まとめ:一番大切なのは「健康資産」の構築
数字の話を積み重ねてきましたが、最後に行き着く結論は一つです。
「病院にお世話にならないこと。それが最強の対策である」
高額療養費制度がどんなに変わろうとも、私たちが健康で、病院に行かずに済めば、支出は常に「ゼロ」です。
- 全世代共通の最強投資:それは日々の運動習慣であり、適切な食事であり、良質な睡眠です。
- 健康資産の利回り:病気をせず、自分の足で一生歩き続けることは、数百万、数千万の医療費・介護費を浮かすことと同じです。これほど利回りの良い投資は他にありません。
制度の変更を数字で冷静に押さえたら、あとは健康資産への投資へ全開です。
免責事項 本記事に記載の金額や区分は、2026年2月時点の厚生労働省による改正方針案に基づいた予測・試算です。実際の所得区分判定や自己負担額は、お住まいの自治体やご自身の正確な所得状況により変動します。最終的な判断や詳細は、必ずお住まいの自治体や加入中の健康保険組合の窓口でご確認ください。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。


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