第1回:AIの仕組み〜基本の「き」〜

AI

従来のプログラムとAIは何が違うのか?

「AI(人工知能)」という言葉を耳にしない日はありませんが、その中身を正確に説明できる人は意外と少ないものです。AIを理解する第一歩は、これまでのコンピューター(プログラム)との決定的な違いを知ることにあります。

1. 「ガチガチの命令」か「自ら学ぶ姿勢」か

これまでのプログラムは、人間がすべての手順を書き込む**「マニュアル型」**でした。 例えば、自動販売機をイメージしてください。

  • 「160円投入された」+「コーラのボタンが押された」=「コーラを出す」 このルール(もし〜なら、〜する)から1ミリも外れることはできません。

対してAIは、**「学習型(見習いシェフ)」**です。 人間がルールを教えるのではなく、大量のデータ(経験)を与え、「どうすれば正解に辿り着くか」をAI自らが導き出します。

【イメージ:マニュアル vs 学習】

  • 従来: [人間] ──(命令)──> [PC] ──> [結果]
  • AI: [データ] ──> [AIが法則を発見] ──> [PC] ──> [予測・判断]

2. AIの頭脳「ニューラルネットワーク」を例えるなら

AIの仕組みの核となるのが「ニューラルネットワーク」です。これは人間の脳にある神経細胞(ニューロン)のつながりを模したものです。

これをわかりやすく例えるなら、**「100人の小さな審判による多数決」**です。

  1. 入力層: 情報が入ってくる(例:写真のデータ)。
  2. 中間層(隠れ層): 100人の審判が、それぞれ違う視点でチェックする。
    • 審判A:「丸い形をしているから、リンゴっぽいな」
    • 審判B:「色は赤いけど、表面の質感が少し違うな」
    • 審判C:「重さはこれくらいのはずだ」
  3. 出力層: 全員の意見を集計し、「これは98%の確率でリンゴです」と答えを出す。

最初は間違えることもありますが、正解を教えられ、復習を繰り返すことで、審判たちの「見る目(重み付け)」がどんどん正確になっていく。これが**「学習」**の正体です。


3. 日本と英語圏の視点:AIは「神」か「道具」か

ここで少し視点を広げてみましょう。日本と英語圏では、AIに対する「本質的な捉え方」に興味深い違いがあります。

  • 日本の視点: 鉄腕アトムやドラえもんのように、AIに**「心や人格」**を期待する傾向があります。そのため、AIを「パートナー」として温かく迎え入れる文化があります。
  • 英語圏の視点: AIを**「計算資源(Statistics on steroids / 強化された統計学)」**と捉えます。いかに効率よく、正確に、ビジネスや課題解決の「道具」として使い倒すかという実利的な側面が非常に強いです。

本シリーズでは、この両方の視点を持ち合わせ、「仕組みを理解して、賢く使いこなす」ことを目指します。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

免責事項 本記事に掲載されている情報は、執筆時点(2026年2月)の技術水準に基づくものです。AI技術は急速に進化しているため、最新の仕様とは異なる場合があります。また、AIの動作原理を分かりやすく説明するために概念を簡略化しており、厳密な数学的定義とは一部異なる箇所があります。

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