行政の資料を調べるとき、みなさんはどうしていますでしょうか。
「〇〇市 人口 統計」と検索して、いくつかのページを開いて、PDFを探して、目的の数字にたどり着くまでに気づけば10分、20分が過ぎている——そんな経験が私にもありました。
今日、その手間が一気になくなる体験をしました。
AIに「聞くだけ」で行政データが返ってきた
きっかけは、「行政オープンデータリモートMCPサーバー」というサービスの存在を知ったことです。AI HYVEとN-3という会社が2026年2月に無料公開したもので、Claude CodeなどのAIツールから、国の行政データベースに直接アクセスできる仕組みになっている。
現在、対応しているデータは3種類あります。国土交通省の不動産取引価格、中小企業庁の官公需入札情報、そして総務省の政府統計(e-Stat)です。頻度は低いが、どれも「調べたいけれど、どこを探せばいいかわからない」と感じることの多いジャンルばかりです。



画像①:渋谷区 不動産取引価格情報 出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」2025年第3四半期
(行政オープンデータリモートMCPサーバー経由で取得)

画像②:福岡市 人口動態(令和8年2月中)
出典:総務省「e-Stat 政府統計の総合窓口」令和8年2月分
(行政オープンデータリモートMCPサーバー経由で取得)
設定は、AIがほぼ全部やってくれた
「使ってみたい」と思っていても、設定が難しそうで躊躇する人は多いと思います。私もその一人でした。昨今のAIツールの進化で、むずかしいプログラミングの知識がなくても、最初のハードル(パソコンでの最初の設定)を乗り越えれば、あとは、日本語で話しかけるだけて、データの取得が可能になりました。(いわゆるAIエージェント)
実際、Claude Codeに接続の設定をお願いしたら、AIが自動でほぼすべてを完了させてくれました。自分がやったことは、「「行政オープンデータリモートMCPサーバー」、「これを使えるようにしてください」と伝えただけです。と言っても大げさでなく、AIがわからなければ、このことですかと聞いてきて、それに「YES」と答えることで設定がはじまりました。
実際に試してみた
設定が終わったところで、2つのことを試してみました。
まず「渋谷区の最近の不動産取引価格を調べてください」と入力しました。すると数秒で、2025年第3四半期の取引データが一覧で返ってきました。神宮前の中古マンション(100㎡)が3億5,000万円、広尾の135㎡物件も3億5,000万円。宅地では神宮前の410㎡が約29億円、単価にして約700万円/㎡という数字が並んでいました。
次に「福岡市の人口に関する統計データを取得してください」と入力しました。こちらも即座に、令和8年2月の人口動態が返ってきました。前月比で433人減、出生877人に対して死亡1,244人という自然減の一方、市外からの転入は4,803人。前年同月比では人口が12,624人(0.8%)増加し、世帯数も14,773世帯増えているという内容でした。
検索エンジンもPDFも使っていない。ただ日本語でAIに質問しただけです。
「探す」という作業がなくなった
この体験で気づいたのは、単に「便利になった」ということではなく、もっと根本的な変化だと感じています。
これまでの情報収集は「検索→ページを選ぶ→目的の数字を探す」という3段階のプロセスでした。それが今日は、質問して、答えが返ってくる、の2段階になりました。しかも返ってくるのは一次情報そのものです。
時間のコスパという観点で言うと、劇的に変わりました。
行政ライブラリから取得できる主なデータ一覧
| No. | データソース | 提供省庁 | 主な取得データ |
|---|---|---|---|
| 1 | 不動産情報ライブラリ | 国土交通省 | マンション・戸建・土地・商業地の実際の取引価格(全国・市区町村別・四半期別) |
| 2 | 官公需情報ポータル | 中小企業庁 | 国・自治体の入札・調達案件(キーワード・業種・地域・発注機関で検索可) |
| 3 | e-Stat(政府統計) | 総務省 | 人口・労働・賃金・物価・農業・製造業・商業・住宅・教育・医療・観光・環境など約60万件の統計データ |
※ AIエージェント(Claude等)から自然言語で直接照会できます。出典の明記が必要です。
リタイア世代にこそ関係する話
「行政データなんて自分には関係ないです」と思う人もいるかもしれません。でも少し考えると、年金制度の動向、地域の人口推移、住んでいるエリアの不動産相場など、老後の生活設計に直結する情報が行政データの中にたくさんあります。
これまではそれを調べるハードルが高かったように思います。検索の手間、PDFの読み解き、どのページが最新かの判断が必要でした。それが「日本語で聞く」だけで済むようになったのは、シニア世代にとっても、とりわけ大きな変化だと思います。
MCPという「接続の仕組み」が広がっている
今回使った仕組みの背景には、MCP(Model Context Protocol)と呼ばれる規格が使われています。AIと外部のデータやサービスをつなぐための共通ルールのようなもので、2024年末にAnthropicが提唱し、急速に広がっています。
行政データだけでなく、楽天市場、楽天トラベルなどにも同様の接続サービスがすでに登場しています。AIの「手が届く範囲」が、静かに、しかし確実に広がっています。
今日試したのは、2件だけのデータ取得でしたが、今後、利用機会があれば、もっと活用したいと思います。
※本サービスはβ版として無償提供されており、AIによる集計結果は必ずしも正確性を保証するものではありません。重要な判断の際は、各省庁の一次情報を直接ご確認ください。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。


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