問いをたてる
もう何十年も前の現役時代ことだけど、鮮明に覚えていることがある。
当時の私の上司との会話。私
「モチベーションって、とても大事ですよね。」
上司
「そうか?」
この一言で、私は少し戸惑いました。
私
「ええ、そうですよ。モチベーションが上がらないと
大きな仕事なんてできないですよね!」
上司
「そんなことないよ。
モチベーションなんていらない!いらない!
必要ないよ!」
私
うー……(黙ってしまう)そうですかね〜と内心思いながらもずっとわからないまま年月が過ぎた、
私も上司もそれぞれ違うタイミングで転勤となり、別々の部署で働くこととなった。
あれから10年ほど経った時も、あの時のモチベーションなんていらないと言った意味はなんなのだろうと、正直わからないままだった
私は毎回どうやって気分を盛り上げるにはどうすれば良いかと常々考えていた。
仕事のモチベーションを保つためにはプライベートではあまりカリカリせず、極力安らかな気持ちでいようと努めていた。そしてある日定年退職を控えた3年ぐらい前のこと。
突然思い浮かんだ。
仕事にモチベーションはいらない
仕組みを作って、それを回していくだけだ、やることにムラがあっては困るからね。と、なぜかこの考えが頭に浮かんだ。
なぜ浮かんだのか私にもわからない。ほう、なるほど! 仕組みか!
そして、それからわかったことがある
人間のやる気というのは、やり始めないと出ない。だから何もやっていない状態ならやる気は出てこない(ドーパミン)
そうか仕組みを作って、小さなスタートをするとだんだんやる気が出てくるというわけだ。ここであの時の上司の言葉が腑に落ちた!
何十年ぶりの答え合わせです。
今も気分が乗らない時は、少し動く、
机に向かってみる。
ペンをとって何か書いてみる。
ちょっとした行動を始めることでうまくスタートすることできていると思っている。この出来事を深掘りしてみました。
「やる気が出ないから、仕事が進まない」 私たちは日々、そんな悩みを抱えがちです。しかし、かつてある上司が放った**「モチベーションなんていらない!」**という言葉には、実は科学的に否定できない真理が隠されていました。
なぜ、一流のプロフェッショナルほど「気分」に左右されないのか。その答えは、感情ではなく「脳の構造」にあります。

脳は「動く」ことでしか、やる気を作れない
私たちが「やる気(モチベーション)」と呼んでいるものの正体は、脳の**側坐核(そくざかく)**という部位から分泌される「ドーパミン」という神経伝達物質です。
ここで重要な科学的ルールがあります。 **「側坐核は、刺激を受けないとドーパミンを出さない」**ということです。
つまり、「やる気が出たら動こう」と待っていても、脳の構造上、その瞬間は永遠にやってきません。何かを「やり始める」という外部刺激があって初めて、側坐核が活動を開始し、後からやる気が追いかけてくるのです。これを心理学では**「作業興奮」**と呼びます。
「ペンを持ってみる」「机に向かってみる」という、あなたが現在実践されている小さな行動こそが、脳のエンジンをかける唯一の鍵だったのです。
意志の力は「有限のリソース」である
モチベーション(感情)を維持しようとすることは、実は非常にコストが高い行為です。 心理学の世界では、「ウィルパワー(意志の力)」は使えば使うほど消耗する資源であると考えられています。
- 「今日は気分を上げよう」と努力する
- 「嫌なことがあっても安らかでいよう」と自制する
これらはすべてウィルパワーを激しく消費します。肝心の仕事に取り組む頃には、脳がガス欠状態になってしまうのです。 一方、上司の仰った「仕組み」は、この貴重な資源を節約してくれます。
- 感情のムラ:エネルギーを浪費する
- 仕組み(ルーチン):無意識で動けるため、エネルギーを使わない
日本の「気合」と英語圏の「システム」
ここで、日本と英語圏の考え方の違いに触れてみましょう。
日本では伝統的に「やる気」や「気合」「根性」といった**精神論(マインドセット)**が重視される傾向にあります。これは「心のあり方」を整える美学ですが、時に個人の感情に負荷をかけすぎてしまいます。
対して、欧米のビジネス思想や生産性向上の世界では、個人の意志よりも**「環境デザイン」や「システム」**を優先します。
「良い結果を出すために、良い感情は必要ない。良いプロセスがあればいい」という徹底した合理主義です。あなたがたどり着いた「仕組みを回す」という答えは、まさに世界基準の成功法則と合致しています。
今日から使える「仕組み化」のヒント
科学的に正しい「仕組み」を作るコツは、徹底的に**「着火点」を低くすること**です。
- 2分ルール:どんなに大きな仕事も、最初の「2分でできること」だけを決めておく。
- if-thenプランニング: 「デスクに座ったら、まずペンを持つ」といった、条件と行動をセットにする。
- 環境の固定: 「この場所ではこの仕事をする」と決め、感情が入り込む隙をなくす。
結論:答え合わせの先に
何十年も前の「モチベーションなんていらない」という言葉。それは冷たさではなく、部下が感情の波に溺れず、着実に成果を出せるようにという、究極の「効率」と「優しさ」だったのかもしれません。
モチベーションは、あればラッキーな「おまけ」のようなもの。 本当に大切なのは、淡々とペンを走らせるその一歩目なのです。
私見)これは後になって、とても納得のいく事でした。あの時すぐに理解していればと思うこともありますが、仕事のムラを減らす為に大いに役立ちました。プライベートでも、有限なモチベーションを保ちつつ、うまく回していくことで良い状態を保っています。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
免責事項: 本記事の内容は、一般的な脳科学および心理学の知見に基づいた解説であり、特定の医学的助言や診断を目的としたものではありません。また、効果には個人差があります。


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